【セミナーアンケートで寄せられたご質問・ご意見・コメントへの回答】

 

セミナー後のアンケートで多くの ご質問をいただきありがとうございました。以下、 回答をご紹介いたします。 ご参考ください。

 

Q1. 相談員として適切な切り替えし方について

今回のロープレで自分が相談員の際に、課長役の方から「相談員さんはどう思いますか?」と行為に対してどう思うかと意見や同調を求められることがありました。相談員は裁判官ではないということで自分の感想や意見を言わない方が良いのではとは思ったのですが、「どう思うか」という質問に対して答えないのは不誠実かな…と葛藤してしまいました。こういう場合にはどう切り抜けるのがよろしいでしょうか?

 

<回答>

相談員としての感度が問われる、よいご質問をありがとうございます。

「相談員は判断する立場ではない」という原則と、「相手から意見を求められたのに答えないのは不誠実ではないか」という感覚が同時に働くのは、とても自然なことだと思います。

 

このような場合、相談員としての「誠実さ」は、必ずしも相手の求めに応じて自分の意見を述べることではありません。

むしろ、

①相手の気持ちや意図を受け止めること

②なぜ自分の意見を述べないのかを分かりやすく説明すること

③そのうえで、相談員としてできることを示すこと

が大切です。

 

例えば、次のような切り返しが考えられます。

 

【相手からの問いかけ】

「相談員さんは、どう思いますか?」

 

【返しの例】

①まず、相手の気持ちを受け止める

「私が受けた印象についても、知りたいと思っていらっしゃるのですね。」

 

②自分の意見を述べない理由を説明する

「ただ、私個人の感想をこの場でお伝えすると、その後の事実確認に私自身の印象が影響してしまう可能性があります。〇〇さんにとって不利益にならないよう、そこは一度置いておきたいと思います。」

 

③相談員としてできることを示す

「その代わり、今日は〇〇さんがどのように受け止めたのか、また、当時どのような状況だったのかを、できるだけ詳しく聴かせていただければと思います。」

 

このように、単に「答えない」のではなく、「なぜ答えないのか」を説明したうえで、相談者の話に戻していくことがポイントです。

 

【避けたい返し】

「ひどいと思います。」

→ 相談員自身の評価や判断として受け取られる可能性があります。

 

「何とも言えません。」

→ 説明なく拒否すると、相談者に「話を受け止めてもらえていない」と感じさせることがあります。

 

「私は判断する立場にありません。」

→ 原則としては正しいのですが、これだけを伝えると、冷たい印象になりやすい表現です。

 

「受け止める → 理由を説明する → 本来の相談に戻す」という流れを意識すると、相談員としての立場を守りながら、相手との信頼関係も保ちやすくなります。

 

 

 

2 ハラスメント・ハラスメントへの対応について

①職場において、相談者がハラスメント事案として訴えるが、本質部分は自己の承認欲求や処遇の不満を上司にぶつける、ハラスメントの名を借りたハラハラが見受けられる点

 

➁セミナーに対する希望テーマとしましては,いわゆるハラスメント・ハラスメントへの対応に関心があります。本務と相談者の両立には、かなりの負担と責任を感じます。

 

<回答>

「ハラスメント・ハラスメント」への対応は、相談員にとって悩ましいテーマの一つです。

 

相談員として大切なのは、相談そのものを否定したり、「厄介な相談」と捉えたりせず、まずは相談者の話を受け止めることです。そのうえで、「真偽の判定は相談員の役割ではない」という原則に基づいて対応することが重要です。

 

たとえ処遇への不満や承認欲求などが背景にあるとしても、「ハラスメントに当たるかどうか」だけに焦点を当てるのではなく、「相談者は何に困っているのか」という視点で話を聴くことが有効です。これは、上司の立場で相談を受ける場合にも同様です。

 

具体的には、相談内容を「事実」「感情」「希望」の3つに分けて整理しながら聴き、記録に残していくことで、今後の対応の方向性が見えやすくなります。

 

また、本務と相談員としての役割を両立するうえでは、相談員個人のスキルを高めるだけでは、負担の軽減に限界があります。相談員の負担は、個人の努力だけで解消するのではなく、組織として支える仕組みを整えることが重要です。

 

例えば、相談件数や対応時間の目安を設定する、記録の様式を統一する、相談員が判断に迷った際の相談先(人事・コンプライアンス部門・外部専門家等)を明確にする、相談員自身が振り返りやケアを受けられる機会を設ける、といった仕組みづくりが考えられます。

 

 

3 ヒアリング後の相談者・行為者へのフォローアップの方法

 

<回答>

ヒアリング後のフォローアップは、「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを整理しておくと、対応しやすくなります。

 

【相談者】

・対応結果または今後の見通しの共有

・今後の進め方の説明

・報復や不利益な取扱いをしないことの再確認

・必要に応じた業務上の配慮(配置、業務量等)

 

【行為者といわれる人】

・決定した対応内容と、その理由の説明

・指導や研修を行う場合は、その目的・位置づけの説明

・関係者への不利益な取扱いをしないことの再確認

・再発防止に向けた継続的なフォロー

 

【相談員ご自身】

・対応内容や進め方の振り返り

・一人で抱え込まないための相談

・必要に応じて、人事・上司・外部専門家等への相談(守秘義務に配慮)

 

フォローアップで特に大切なのは、次の3点です。

①「その後どうなったのか分からない」という状態を作らない

②あらかじめ連絡する時期やタイミングを決めておく

③対応内容ややり取りを記録に残す

 

特に、調査や対応が長期化する場合は、相談者・行為者双方が「この後どうなるのか」と不安を抱えやすくなります。

すぐに結論を伝えられない場合でも、「現在どの段階にあるのか」「次に何をするのか」「いつ頃、次の連絡をするのか」を可能な範囲で共有することが、安心感や信頼の維持につながります。

 

 
 
4 相談窓口としての心得など学びたい
 
<回答>
【参加者特典】サンプルテキストP4「2.相談員の基本姿勢『4つの心構え』」に記載している、「事実の判断は脇に置く」「否定・説教をしない」「中立性を保つ」「守秘義務と事前の説明」が、相談対応の基本となります。所属される組織の「相談員マニュアル」にも相談員としての心得が記載されているかと思いますので、改めて確認されるのもよいかと思います。
 
そのうえで、相談員が安心して対応できる窓口をつくるためには、実務面の仕組みを整えておくことも重要です。
 
例えば、担当者を一人に固定せず、複数の相談員で情報を共有する、記録の様式や記載項目をあらかじめ決めておく、エスカレーションが必要となるケースや、その際の相談先・対応ルートを明確にしておくといった方法があります。
 
また、相談員自身がすべてを解決しようとするのではなく、「解決者ではなく、適切な支援や対応につなぐ橋渡し役」であることを確認しておくことも大切です。
 
 
 
5 ハラスメント行為への気づきを促す研修について
 
ハラスメントを行っている社員に、今ご自身がされていることはハラスメント行為であることを気づいてもらうために出来ることは何なのか。 ヒアリングではなく、まずは全体研修の中で、自発的に気づいてもらうようにしたいと考えているが、e-ラーニング研修だけでは効果が薄いような気がする。 コストをあまりかけずに、良い研修があれば紹介してほしい
 
 
<回答>
ご指摘のとおり、eラーニングだけで、本人の「気づき」や行動変容までつなげることには限界があります。
 
eラーニングをはじめとする講義型の研修は、ハラスメントの定義や類型、具体的な事例などの「知識」を伝えるには適しています。一方で、知識を得ただけでは、「自分の言動も相手からはこのように受け取られるかもしれない」という自分事としての気づきにつながりにくい面があります。
 
また、質問者様の、「ヒアリングではなく、まずは全体研修の中で、自発的に気づいてもらいたい」という考え方は理解できます。ただし、全体研修の中で特定の人に気づきを促すことは、必ずしも容易ではありません。
 
ハラスメントを行っている本人は、「自分は指導しているだけ」「相手のためを思って言っている」と考えており、自分の言動を問題のある行為として認識していない場合もあります。そのため、たとえ全体研修の中で、「これは自分のことでは?」と気づいたとしても、正論を一方的に伝えるだけでは、かえって「自分は責められている」という防衛的な反応につながることもあります。
 
そこで、効果が期待できるのが、自分の言い方や態度が相手にどのように受け取られる可能性があるのかを、具体的な場面を通じて体験してもらう形式です。
 
今回のセミナーで行った「感じのよい対応」「感じの悪い対応」を体感するワークと同じように、説明を聞くだけではなく、実際に考えたり、比較したり、意見交換したりすることで、自分の言動を振り返るきっかけをつくることができます。
 
研修対象ごとの組み立てとしては、例えば次のような方法が考えられます。
 
【全社員対象】
ハラスメントに関する基本的な知識を身につけ、自分事として考えるきっかけをつくる
<形式>eラーニング(定義・類型・NG例)+短時間の対話型ワーク など
 
【管理職対象】
ハラスメントの芽に気づく/適切な指導との境界を理解する/日常のコミュニケーションを見直す
<形式>半日の体験型研修 など
 
【相談員・人事担当者対象】
実際の相談場面で適切に対応する力を身につける
<形式>ロールプレイ・事例検討を中心とした実践研修 など
 
コストを抑えながら効果を高めるのであれば、eラーニングをやめるのではなく、「知識の習得はeラーニング」「気づきや自分事化は短時間の対話型ワーク」と役割を分ける方法がおすすめです。
 
例えば、全社員向けに30~60分程度の短時間の体験型プログラムを組み合わせれば、既存のeラーニングを活用しながら、研修の効果を高めることができます。
 
また、費用を抑える方法としては、研修用の事例やワークをあらかじめ整えたうえで、社内の人事・コンプライアンス担当者等が講師となって実施する方法も考えられます。
 
なお、すでに特定の社員について「ハラスメント行為をしている可能性が高い」と認識されている場合は、全体研修だけで本人の気づきや行動変容を期待することには限界があります。その場合は、全体研修とは別に、本人の状況に応じた個別の対話や振り返りの機会を設けることも検討されることをおすすめいたします。
 
 
 
【セミナーのご感想等に対するコメント】
 
1 可能であれば、今回の議事録とpdf資料をいただければ幸いです。
 
【事務局コメント】
ご参加いただき、ありがとうございました。
当日のスライド資料を参加者の皆様にお送りいたしますので、ぜひ今後の相談対応等にお役立ていただければ幸いです。
 
 
2 まだ実際には相談を受けたことがないのですが、心の準備ができました。ありがとうございました。
 
【事務局コメント】
ご参加いただき、ありがとうございました。
実際の相談を受ける前に、対応のポイントや考え方を知っておくことは、いざというときの安心につながるかと思います。今回のセミナーが、今後の相談対応に少しでもお役立ていただけましたら幸いです。
 
 
3 前回のセミナーで講師の土信田様のお話し方や声が大変聞きやすく、「ぜひまたこの方のセミナーに参加したい」と思い、今回申し込みいたしました。 
 
【事務局コメント】
前回に続き、今回もご参加いただき、誠にありがとうございます。
講師への温かいお言葉も、大変うれしく拝見いたしました。今回のセミナーも、皆様にとって実りある時間となっていましたら幸いです。
 
 
4 以前、急遽提示されたマニュアルを頼りに被害者・加害者双方のヒアリング対応をした際、具体的なイメージがつかめず現場で苦労した経験がありました。ハラスメントのヒアリング対応者に特化した無料セミナーは珍しく、今回のグループセッションやロープレを通じて、講師の皆様や他社の担当者様から大変貴重な知見を得ることができました。 
 
【事務局コメント】
貴重なご経験を共有いただき、ありがとうございます。
実際の現場でのご経験があるからこそ、今回のグループセッションやロールプレイから、より多くの気づきを得ていただけたのではないかと思います。参加者の皆様との意見交換も含め、今後のヒアリング対応を考えるうえでの一助となりましたら幸いです。
 
 
5 当日は機器トラブルによりマイク・カメラなしでの視聴となり、ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした。チャットでの参加となりましたが、質問に丁寧ご対応いただき心より感謝申し上げます。 
 
【事務局コメント】
ご参加いただき、ありがとうございました。
当日は機器のトラブルがおありだったとのことで、チャットを通じて積極的にご参加いただき、ありがとうございました。参加者様が少しでも安心して学んでいただける時間となっていましたら、私どももうれしく思います。

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