ハラスメント個別研修はどのように進むのか ― 対話を支える4つの技法

個別研修では、はじめから一方的に「指導」を行うのではなく、まず初回面談の前半でカウンセリングを実施し、受講者の方が置かれている状況や気持ち、対人関係の受け止め方を丁寧に整理します。

そのうえで、必要に応じてコミュニケーション、感情の扱い方、行動の見直しに関するスキルを、マンツーマンで学んでいただきます。集合研修では届きにくい、一人ひとりの特性や背景に応じた支援ができることが、個別研修の大きな特長です。

1 カウンセリング

まず「問題を正す」前に、「状況を整理する」ことから始めます。

ハラスメント等に関する個別研修では、最初から結論や反省を求めても、十分な理解や変化につながらないことがあります。そこで私たちは、初回面談の前半でカウンセリングを行い、受講者の方がどのような状況で、どのような思いを抱え、どのように相手や出来事を受け止めているのかを丁寧に整理します。

強い言い方をしてしまった背景に、焦り、責任感、誤解、孤立感、あるいは「自分は正しい指導をしている」という思い込みがある場合も少なくありません。こうした背景を整理せずに表面的な注意だけを重ねても、本人の納得や行動変容にはつながりにくいものです。行動変容を促す支援では、対象者の状況に応じた個別化と、継続的なフォローが重要であるとされています。 

 

カウンセリングは、「言い分をそのまま認めること」ではありません。受講者の方の気持ちや認識を整理しながら、何が起きていたのか、相手にどのような影響を与えたのかを見つめ直す土台をつくるための時間です。

私たちは、この最初の対話こそが、その後の実践的な学びと再発防止につながる重要な出発点だと考えています。

2 アサーティブ・コミュニケーション

アサーティブコミュニケーションとは、自分の考えや要望をきちんと伝えながら、同時に相手の立場や感情も尊重する伝え方です。

受け身でも攻撃的でもなく、率直さと尊重の両立を目指すコミュニケーションと言えます。アサーティブな伝え方は「直接的でありながら尊重に基づく、健康的なコミュニケーション」であり、対人関係やストレス軽減に役立つと言われています。

 

ハラスメントに至りやすい方の中には、「言うべきことを伝える=強く言うこと」と捉えている方が少なくありません。逆に、我慢を重ねた結果、あるとき急に感情的な言い方になってしまう方もいます。こうした場合に必要なのは、単に「もっと優しく言いましょう」という一般論ではなく、具体的にどう言い換えるか、どこまでが適切な指導で、どこからが威圧的な伝え方になるのかを、一対一で確認していくことです。

個別研修では、受講者の方の職場場面に合わせて、注意、依頼、断り方、意見の伝え方などを具体的に練習し、実際のコミュニケーション改善につなげていきます。 

3 コーチング

コーチングは、相手に一方的に答えを教えるのではなく、対話を通じて本人の気づきや選択を引き出し、具体的な行動につなげていく支援です。

ハラスメント等の個別研修では、受講者の方に「何が問題だったか」を理解していただくだけでなく、「今後どのように行動を変えていくか」まで落とし込む必要があります。そのため、理解の段階から実践の段階へ進む場面で、コーチング的な関わりが有効になることがあります。

 

たとえば、「次に同じような場面が起きたら、どのように伝えるか」「感情が高ぶったときに、どこで立ち止まるか」「相手に配慮しながら指導するには何を意識するか」といった問いを通じて、本人が具体的な行動を自分の言葉で整理できるよう支援します。これにより、受け身の理解ではなく、実際に職場で使える行動計画へつなげやすくなります。

 

職場におけるコーチングは、組織成果に対してポジティブな効果を持つ有効な介入と言われています。人事ラボラトリーでは、必要に応じてコーチングの要素を取り入れながら、受講者の方が「分かった」で終わるのではなく、「次にどう動くか」まで考えられる個別研修を重視しています。 

4 アンガーマネジメント

アンガーマネジメントは、怒りを感じないようにすることではなく、怒りに気づき、その感情をより適切に扱うための方法を学ぶ支援です。

アンガーマネジメントは一種の認知行動療法であり、怒りのきっかけを理解し、問題解決、コミュニケーション、リラクゼーションなどのスキルを身につけるものと説明されています。 

 

ハラスメント個別研修の場面では、「怒ってはいけません」と伝えるだけでは十分ではありません。大切なのは、どのようなときに感情が高ぶりやすいのか、自分は何に反応しやすいのか、怒りが強くなったときにどのような言葉や態度として表れやすいのかを整理することです。そのうえで、感情が強くなったときの切り替え方、間の取り方、伝え方の見直しを具体的に学んでいきます。

 

怒りそのものは自然な感情ですが、扱い方を誤ると、相手に威圧感を与えたり、人格否定や過度な叱責につながったりすることがあります。個別研修では、受講者の方の職場場面に即して、怒りのサインの捉え方や、感情を行動に直結させない工夫を身につけていただくことで、再発防止と対人関係の改善を支援します。

 

複数の技法を組み合わせ、
一人ひとりに合った支援を行います

人事ラボラトリーの個別研修では、まずカウンセリングによって状況や気持ちを整理し、そのうえで必要に応じてアサーティブコミュニケーション、コーチング、アンガーマネジメントなどの技法を組み合わせながら、一人ひとりに合った支援を行います。

大切にしているのは、表面的な理解で終わらせず、実際の職場での言動の変化につなげることです。

対話を通じて本人の気づきと行動変容を支え、職場の再発防止とよりよい人間関係づくりにつなげていきます。

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